さて次は各陣営の紹介からまずいきましょう。まずはゼニス-モバードから。

ゼニスのムーブメント、エルプリメロは今ではとても有名です。1990年代にロレックスのデイトナのベースムーブメントに採用されてから、さらにクロノグラフメーカーとして有名になった感があります。

ただし、この60年代当時はそう有名でもありませんでした。当時クロノグラフ、時間の計測を行う計器メーカーとして有名だったのは、オメガ、ブライトリン グ、ホイヤーです。40~50年代のゼニスはスイスのクロノグラフメーカーの協会にも所属しておらず、クロノグラフのラインアップは限られており、他社か らのムーブメント供給に頼っていました。

それが一変するのは1960年にゼニスがムーブメントメーカーのマーテルを買収してからです。マーテルは、ユニバーサルジュネーブや他にクロノグラフの ムーブメントを供給していました。この買収により、ユニバーサルジュネーブ285はゼニス146シリーズとなり、ゼニスはクロノグラフのムーブメントを供 給できるようになりました。

また協力メーカーのモバードは、60年代当時は高い技術力を持ったメーカーで、特に精度を出すための高振動化に高い技術力を持っていました。