では、いよいよ機械式時計の仕組みに行きたいと思います。これが私の思う機械式時計のモデルです。クオーツと比較して、仕組みが複雑になっているのが図からも分かるかもしれません。 この歯車の比は、時計三昧さんのウェブページを参考にさせていただいております。いつもどうもありがとうございます。 クオーツ時計と大きく違うところは以下の三点になるかと思います。 動力源が一体になっている。クオーツの場合は、電池という動力源が、振動数を変換する電子回路を駆動していました。機械式時計の動力源は、香箱のゼンマイです。クオーツ時計と違い、その駆動力は振動数を変化させると同時にダイレクトに歯車で次の歯車を駆動します。 クオーツと違い「増速」になっている。クオーツの場合は、もとが32768Hzという非常に速い振動を遅くすることで、秒針、分針、時針を作っていました。一方機械式時計では、遅い香箱の回転から、分針、秒針を作ります。 フィードバックループが形成されている。クオーツの場合は、元の速い発振周波数を単純に分割することで所望の時間単位を作ります。一方、ゼンマイ時計の場合は、テンプの速度にあわせて、ゼンマイの解ける速度を調整します。一番最後の三角印の部分ですね。テンプの速度にあわせて、ガンギ車の速度が調整されます。 機械式時計は、動力源と速度調整を一体で行う仕組みを採用しているがために、設計者からうすると、ここが最大の制約条件であり、面白味でもあるんじゃないでしょうか。
寒い日々が続きますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。私は寒さは嫌いですが、冬は汗や水分にあまり気を使わなくよくなって、使う時計の選択肢が増えますので、その意味では好きな季節です。 前回、クオーツ時計は簡単だと散々書きました。では、どのように簡単なのでしょうか。一番簡単な理由は、その仕組みにあります。クオーツ時計は基本的に電池で動きます。電池で動く、よく聞きますが、では「動く」っていったいどういうことでしょう。 電池で動くっていうことは、電池の力を使って、何かを動かすわけです。クオーツ時計の場合、その何かとは何か。一つは電子回路です。電池で回路を動かして所望の機能を達成するわけです。 簡略図で書いてみるとこのような感じです。電池の力ですべての回路を動かします。まずは、32768Hzを作る水晶発振器。これが全部の元です。それを半分にして、もう一回半分にして、、、とこれを15回続けると、1秒ができます。1秒ができればそれを1/60にします。そうすると1分ができて、さらに1/60にすると1時間ができます。 なお、電池というのは、かなりユニバーサルな動力源で相当便利に使えます。この図に書いているのは、電子回路に関連する部分だけですが、電池は、他にも回路だけではなく、針を駆動するモーターなども動かします。 さて、ここで重要なのは、クオーツ時計の場合、その機能(回路)と動力源(電池)は別々になっているということです。ユニバーサルな動力源を使うことで、電池さえあれば、動力源に関する心配がまったくいらない、これは実に革命的なことでした。もっともそのため、泣き所は電池寿命ということになります。大容量の電池はサイズの制約で搭載できませんから、クオーツ時計は、電子回路の中では最も消費電力に気を使ったエコなシステムになっています。
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