さて、本題に戻ろう。 まずこの特許は時計のケースに関する特許である。ムーブメントはあまりにも有名なジャガールクルト製の921であり、これに関する新規性はない。ジェンタはデザイナーであり、ムーブメントを設計することはなかった。 では何に新規性があったのか、ジェンタはこのケースの特許として以下のように概略を記述している。 防水時計ケース、それは、ケースとベゼル、風防ガラスとをネジによって結合したものです。防水パッキンは、ケースとベゼル、風防ガラス、そして時計のムーブメントを支持するフレームとの間に設置されます。 ネジの頭はベゼルに埋めこまれるようになっています。それらのネジは、内部に用意されているそのネジ用の受け穴に固定されます。ネジの受け穴は、ネジを効果的な角度に固定できるようにします。 それぞれのネジとネジ受けとは、防水パッキン中に埋めこまれて貫通しており、ガラスとベゼル、ケースとベゼル、ケースとムーブメントとの支持用のフレームとの間の防水性を保証しています。 特許の Abstract、概略には、この特許で一番重要な点が書かれていることが常である、まず読みとれるのは、この特許は、防水ケースに関する新規のアイディアを含んでいるということである。 どうやらジェンタはその新しい防水ケースの実現にあたって、ケースとベゼル、風防ガラス、ムーブメントを支えるフレームとをパッキンで包みこみ、そのパッキンを、パッキンを貫通するネジによって締めつけるという構造を提案しているようである。以下の図でネジが 11、ネジ穴が10、パッキンが8である。パッキンは、ムーブメントを覆うように全面に位置しているのが分かる。
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