腕時計なんて、少しくらい厚くたっていいじゃん
そのお気持ちもよく分かります。大きく格好良く厚くしっかりしている時計もたくさんあります。
防水性能は300m、クロノグラフが付いて、デイト付き、デイトはいつでも変えることができて、パワーリザーブは3日、いいですよね。頑丈で、いつでもどこでも信頼して使うことができます。
もちろん私もそういう時計もかなり好きです。しかし一方、腕時計はその構造上、外側の体積密度が高くて(密)、内側の体積密度が低くなります(疎)。外側は防水のためにステンレスや金などをはじめとする金属で覆わなければいけません。一方その中空の中身には歯車が稼動するムーブメントが入ります。稼動部分がある以上、どうしても内部を金属で100%満たすわけにはいきませんから、密度的には疎になってしまいます。
ということは原理的にはムーブメントが大きく厚くなればなるほど、時計の重心は高くなってしまう傾向が出てきます。大きくしっかりした時計を腕につけるとひっぱられる感じがします。そうなってしまうと付け心地がそれ以上悪くならないためには、時計をホールドするベルトをしっかり作る必要があります。となると、これでブレスもしっかりした重量のあるものになってきます。
「ムーブメントの厚さ」
一言にいえばたいしたことなさそうに見えますが、実はこれはかなり深いテーマなのです。元々のムーブメントが厚いとどうしたってその時計は薄型にはなれません。しっかりとした厚いムーブメントをしっかりホールドする土台、ケース、さらに厚いケースをしっかりホールドするブレスレット、こういう時計になってしまいます。
画像は PAM00372。パネライごく初期のプロトタイプ復刻です。ラジオミールケースにルミノールのリューズという独特の形状です。パネライはイタリア海軍の軍用時計がルーツですから、しっかりと作られている時計の代表格といってもいいかもしれません。
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