さて、人はなぜ偽物を入手してしまうのか。このことについての考察を続けたい。まずは簡単なところから取りかかろう。 1. 知らなかった。ネットで安いから買ってみたら偽物だった。 これは意外と多いのではないだろうか。筆者はもともとPC趣味だったからインターネットの黎明期からネット上の個人取引の経験がある。自己責任も注意点も十二分に分かっていると自分では思っていた。 そんな筆者でも、一度だけ偽物をネットの個人取引で購入させられそうになってしまったことがある。 ある時たまたま、当時調べていたあるブランドの時計で、これって安いな~と思う商品をオークションサイトで見つけた。そこで、出品物の画像、出品者の過去の履歴などを一通り確認し、「特に問題なし」と最高額を指定して入札した。帰宅してオークションサイトを確認すると筆者が落札していた。だが、同時になにか変だとも思った。そこで再度確認してみると明らかな偽物であった。 偽物は、販売するのも購入するのも法律違反だ。筆者としては法律違反をするわけにはいかないから取引はキャンセルせざるをえない 。しかし筆者はその偽物を一旦落札しているので、システム上は-1がついてしまう。筆者のオークション履歴にある-1がこれである。 これ以降、筆者のネット取引の自分ルールに以下の項目が追加された。 安いな~と思ったときは要注意 思い込みは目を曇らせる。普段はできるようなことができなくなる。筆者の場合、再チェックするとすぐ分かるようなことに、思い込みで目が曇っているときは気付くことができなかった。 ブランド品は、基本的には不要不急の品物である。買わなかったからといって、損することはない。 今回の時計は、ロイヤルオークジャンボ5402。六本木で行なわれていたオーデマ・ピゲのイベントで展示されていたオリジナルのA番である。
フリマやオークションが盛んだ。2018年度、国内トップの取扱はヤフオクで8899億円。それを猛追するメルカリが5307億円。日本の百貨店全体の売上規模がおおよそ6兆円であるから、ヤフオクとメルカリだけですでに百貨店全体の売上の1/4に相当する金額を取り扱っていることになる。ヤフオクは、2016年度の8966億円を頂点に国内首位をキープする一方で、スマホを主戦場とするメルカリは前年度に比べて40%以上も取扱高を増やしている。他方では、各地の百貨店の統廃合のニュースも喧しい。今後もこのネット主導の流れが後退することは考えにくく、時計を含む宝飾品やブランド品もネットで購入する割合が今後とも増えるであろうことは間違いない。 ところで、一消費者としてこの流れには困ることがある。百貨店を含む実店舗が減少して、本物を見る機会が減少してしまうと、購入の決断をネットのみで行わなければならなくなるのである。日本の百貨店の信頼性は非常に高く、そこで取り扱われる品物は本物で間違いないとほぼ100%信じられている。一方でネット店舗、とくに宝飾品やブランド品に関する店舗の信頼性は、もちろん真面目に商売を行っている商店もあるが、そうではないところもあり、玉石混交といってもいい。 もともとインターネットの普及する1997年(平成9年)以前から、百貨店、専門店以外の信頼性はたいして高くはなかった。当時から宝飾品やブランド品の正規の取り扱いは百貨店や専門店に独占されており、その二次流通の経路として質屋や古物商などがあった。この経路の商品は、例えば「なんでも鑑定団」を見ていても分かるが、当時からまさに玉石混交であって、本物もあればとんでもない偽物も多かった。 ただインターネットの普及以前、本人は実物を見てから購入できた。欲しいものがどうしてもあって、それを何らかの理由で「安く」購入したい場合は、実物を見てから自己責任で購入してきたのである。ところが昨今では、実物を見ずに購入するのがむしろ主流である。スマホでクリックするだけで商品を購入できるし、しかも以前からの二次流通の経路である質屋や古物商などと違い、免許もない一般消費者から購入することなどももはや当たり前となった。もともと玉石混交だった二次流通カテゴリは拡大に拡大を続けており、それに伴い一般人が偽物に触れる機会も格段に多くなっていると考えてまず間違いないであろう。 そこで、ちょっとした誰にもできる注意点などを書いていきたいと思う。 今回の時計はセイコーブライツ。セイコーの正規店にて購入したデットストックである。
最近インターネットの振込詐欺が増えているとニュースでは喧しい。いわゆる最近の一般的な「インターネット」、ブラウザによってアクセスできる「インターネット」は、1993年のNCSA Mosaicを起源とすべきであろう。より一般的には1997年に安定版日本語版が出てきたWindows95を起源としても、日本でも、もう20年の歴史がある。 当初は研究者のみのネットワークであったインターネットが一般に開放されてから、ずっと詐欺の問題はあった。2012年前に私はこのブログサイトにナイジェリア詐欺について記事を書いている。最近ではみながスマートフォンを持ち、みなが意識せずにインターネットの世界に接続するようになった。そこで、よりいっそう詐欺の規模、巻き込まれる範囲の人々も増えてきた。そこで、インターネットの黎明期からずっとこの世界に携っている一人として、注意換気の意味も含めて簡単なチェックリストをまとめておこうと思う。 ウェブページの内容を確認する。詐欺サイトは世界中にある。日本にもあるが、ブランドのスーパーコピー品などの場合はその原産国、例えば中国の場合も多い。こうした場合、どうしてもウェブページの内容の日本語訳がおかしい場合がある。ブランド品を扱っている商店でウェブの内容が変な場合はやはり ? であろう。 ショップの情報を必ず確認する。 情報を明記するのは日本の法律で定められている。ない場合は論外だが、あったとしてもメールアドレスがyahooやgmail などのフリーメールであったり、電話番号が携帯の番号だったりした場合には要注意であろう。 できればショップに電話をする。 きちんとしたショップであれば、平日9-5時は対応してくれるはずである。できればそのショップに行ってみるのがいいが、行けない場合は電話してみる。 かならず返品、交換条件を確認する。 価格が適正かどうか確認する。正規の値段と比べて適正かどうか。あまりに安い場合はやはりおかしい。最近ではオークションもあるし、質屋もある。オークションや質屋に持っていけばそれより高く売れるはずなのに値段が安い場合、その業者には、その値段でしか売れない訳があると思うべきである。 詐欺という犯罪の歴史は古い。日本という国に住んでいると分からないが、世界中の他のほとんどすべての国からみると、日本という国はお金持ちの国に見えている。日本は、世界の詐欺サイトのかっこうの標的になっているということを自覚するのがよいかもしれない。 下の図が世界最初のウェブブラウザ、NCSA Mosaic である。1993年当時、大学の研究室のワークステーションの前にいながらにして、 米国やヨーロッパの情報が手元で表示されるということに、ものすごく衝撃をうけたものだった。
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