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ジェラルド・ジェンタ ー デザインルールの創造

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本稿は、以下の2009年に行なわれたジェラルド・ジェンタへのインタビュー記事の翻訳です。ジェンタは2011年に亡くなっていますから、このインタビューは、ジェンタの晩年の貴重なインタビューだと思えます。

機械式時計のどこがいいのか その36

Last updated on September 26th, 2022伝説的なデザイナー、ジェラルド・ジェンタとロイヤルオークについては、各所で様々に語られているが、次はロイヤルオークならびに高級時計を入手する際の注意点について稿を起こそう。 メンテナンスの必要性についてである。ロイヤルオークがロイヤルオークであり続けるためには、メンテナンスが不可欠である。ロイヤルオークのケースは、元来の特許のコンセプトとしては「簡単に組立てが可能な防水構造であり、いままでにない審美性を与える」となっている。そして以下がyoutubeにアップロードされている Audemars Piguet のロイヤルオーク エクストラシン のケーシング工程の動画である。 ここで注意されたいのは、たしかにロイヤルオークの特許のコンセプト同様、ケーシングそのものは比較的簡単なのかもしれないが、ベゼルと文字盤、ケースにさまざまな加工がなされていることである。ジェンタは、ケーシングは簡易な構造にしたかったかもしれないが、それはあくまで防水を達成するためであり、他の一切の高級時計としての仕様については妥協しなかった。薄型の追求のために採用されたムーブメント2121。いままでにないタペストリーダイヤル、極限までこだわったクリアランス。立体感を出すためのベゼルの磨き分け。 デザイナーは、プロダクトにコンセプトを与える。そのプロダクトがそのコンセプト通りに製造されるかどうかはメーカーの責任である。Audemars Piguetは、見事にジェンタのコンセプトに従ったプロダクトを産み出した。その結果、当然ながらそのプロダクトの生産に必要な工数は膨らみ、ロイヤルオークの価格にも反映されることとなる。ロイヤルオーク発表当時の価格は、ステンレススチールの時計としては破格の3300スイスフランであった。これは当時のPatek Philippeのゴールド製のドレスウォッチよりも高価でRolexのサブマリーナの4倍以上の価格であった。 その製品のメンテナンスが簡単にできるはずがない。ムーブメントのオーバーホールだけでも大変だが、それはできたとしても、きちんとした仕上げがなされないと、ロイヤルオークはもはやロイヤルオークではなくなる。一例を上げよう。簡単に見えるベゼル部分だけでさえ三種類の磨き分けがなされている。上面はサテン仕上げ、側面はポリッシュ仕上げ、そしてパッキンに接着する部分はもう一度サテン仕上げである。 高級時計はおおよそ、5年に一度はこのようなメンテナンスが必要になる。それは正規ディーラーで車を車検に出す程度と同等のコストがかかるということは頭に入れておくとよいかもしれない。またこのメンテナンス・コストはメーカーによって異なるから、時計を購入するときに詳細を確認するのがよいかもしれない。

ジェンタ特許を読む その3

閑話休題。 1972年という、時代背景を考えておきたい。 1972年は、西暦でいうと何だか格好いいが日本でいうと昭和47年である。昭和44年7月、アポロ11号が月に着陸。12月、セイコーが世界初のクオーツ腕時計を発表。昭和46年、戦後のいわゆるいざなぎ景気が終わり、昭和47年にはNHKのカラーTV契約数が白黒TVを上回っている。その頃の話である。 この頃、時計業界ではいわゆるクォーツ革命の影響が見えはじめていたとされている。ただし、まだそれは誰の目にも明らかといえるほどのものではなかったであろう。 昭和44年当時、セイコーは、クオーツ・アストロンを世界にさきがけて発表した。それはたしかに素晴しい栄誉ではあった。だがアストロンという製品自体は、その量産によって直ちに利益を得られる製品では到底なかった。昭和46年に量産が開始された38クォーツによって、ようやくセイコーは先行者利益を得られるようになってきたものの、それでも当初のクォーツ時計のシェアは微々たるものであった。クォーツの発表から5年後の昭和49年(1974年)でさえ3%程度であり、その生産数は電磁テンプ、音叉式などの他の電池駆動方式と同程度のものでしかなかった。(参考: 日本の時計産業概史 ) 翻ってスイス時計産業は、同じ昭和49年(1974年)に当時の出荷額のピークを記録している。音叉式や電磁テンプ方式などが60年代から存在しており、電池駆動の時計自体はさほど珍しいものでもなかったし、スイス時計産業もその威信をかけてクォーツ腕時計の開発を行っていた。 そうした時代の中で、オーデマピゲは、1971年に、金無垢の時計よりも高価なステンレススチール製の機械式時計の計画を着々と進めていたということになる。(画像はウェブクロノス ジェラルド・ジェンタの全仕事 より引用)。

ジェンタ特許を読む その2

次に分かるのは、本特許は最初に1971年12月6日にスイスで出願されているということである。これが「優先日」であり、「どちらが先に発明したか」という議論になったときにこの日付が議論のベースとなる。その後アメリカ出願が1972年10月30日、アメリカで審議され、公開されたのが1973年9月4日ということになる。 この日付はけっこう重大である。特許をとるには発明をしなくてはならず、発明にはそれが発明と認められるための要件がある。いわく、 1.自然法則を利用していること 2.技術的思想であること 3.創作であること 4.高度であること 参考(特許法第2条) いくらアイデアが良くても「こんなんあったらええのにな」だけでは発明とはいえない。発明であるためには、そのアイデアが技術的に検証され「動く」こと、その仕組みが分かれば誰でも作ることができる創作でなければならない。また特許には、出願するにも維持するのにも費用がかかる。オーデマピゲといえども、この新規アイディアを検証せずに特許出願することは考えにくい。 ということは、この1971年12月までにはこの特許のコンセプトは試作を終え、所望の機能を充たす技術的検証がほぼ完了していたであろうということになる。これはロイヤルオークの発表のわずか4ヵ月前のことである。スイスのバーゼルにてロイヤルオークが発表されたのは、1972年4月15日のことであった。

ジェンタ特許を読む その1

今回から、ジェラルド・ジェンタのロイヤルオークの特許について読みこんでみる。USPTO(米国特許商標庁)の ウェブページ から検索することで原文にあたることができますし、内容についての概略は以前にも書いていますので、お急ぎの方は、以下からどうぞ。 機械式時計のどこがいいのか その22 まずは、特許の基本情報である。 米国公開番号:3,756,017 米国公開日:1973年9月4日 特許名称: ウォッチケース 発明者: ジェラルド・ジェンタ (ジュネーブ、スイス) 権利者: オーデマピゲ S.A. 出願番号: 301,738 出願日: 1972年10月30日 優先権主張番号:17724/71 優先日: 1971年12月6日 優先権主張国: スイス これらのことから、まずこの特許は、いわゆる職務発明の形態であることが分かる。発明者はジェラルド・ジェンタだが、その発明の権利者はオーデマピゲS.A.である。権利者は、発明の権利の一切を保持し、かつ特許の登録に必要な弁理士の費用や出願費用などの一切を支出する。つまりこの発明を侵害すると、オーデマピゲから訴えられる可能性があるということになる。 ただし特許には期限がある。アメリカ特許法の期限は原則20年である。 特許法の理念は、発明の奨励によって産業の発達に寄与するという点にある。発明したとたんに模倣品が出て来てしまえば、発明者のモチベーションは落ちる。発明のために必要とした膨大な費用を回収できなくなってしまうし、発明すればするだけ損ということにもなりかねない。かといって、一回発明したものに対して永続的に権利をずっと保護してしまえば、類似品を未来永劫作れなくなってしまうことにもなり、産業の発展の阻害要因にもなってしまう。そこで特許法としては、産業の発展を阻害しない範囲で十分な保護を権利者に行うという観点から保護の範囲が定められ、各国の特許には期限が設定されている。 この特許は1973年の公開だから 1993年にはおそらく特許は切れている。 ということで、今現在ロイヤルオークに似たような形状の時計が出てきてもそうそう目くじらをたてる必要はないということをまずは付記しておきたい。  

本物のス丶メ その9

さて、前回の仮説を検証していきたい。本物がごく簡単にしかもリーズナブルに入手できる日本において、高くて買えない本物というのはいわゆる「ブランド品」ではないだろうか。 自明に思える問いではあるが、答えるのは思ったよりも簡単でははない。 そもそも、「ブランド品」とは何であろうか。 パッと思いつくのが、ヴィトンやグッチ、ロレックスなどの高額品でかつ、あるキャラクターやシンボルで一目でそのブランドと分かるようにした流通品、ということになるであろうが、実はその定義はきわめて曖昧だ。英語でいうブランドには、もっと幅広い意味がある。ブランドランキングというのを聞いたことがある人もいるであろう。トヨタ、アップル、コカ・コーラもすべてブランドであるし、カシオのG-Shockも間違いなくブランドである。だが、少々高いかもしれないが、G-Shockが高くて買えないからG-Shockの偽物を購入する、などとは少なくとも筆者は聞いたことがない。 ということは、ここでいう「ブランド品」は、数あるブランド品の中でも「高額品」という定義になるであろう。しかもその「高額品」の中でもより知名度があるブランドということになる。知名度がない、例えば時計でいうと1000万円を超える値札をつけるブランドもあるが、そうしたものはマニアや超富裕層にしか需要はない。一般の人は存在も知らないし、もし見せられたとしても、時として奇抜な形状のそれらをつけたいとも欲しいともまず思わないはずだ。 英語ではそれらのブランドを通常 luxury brandとして区分する。しかし不幸にしてこの単語には現在の日本語の語彙にいい対訳がない。よく言われるのが「高級ブランド」という訳語だが、この訳語から “luxury” という単語に含まれる、「贅沢な、豪華な」という意味をとるのは困難であろう。「アップルは携帯電話の高級ブランドである」と日本語で書いても特に筆者には違和感はない。一方、英語で “Apple is a luxury brand in cell phone.”と使うとかなり違和感がある。”Why Apple is luxury?  Everybody is using it every day!” とでも返したくなる。 そこで、本連載では luxury brandの訳として「贅沢ブランド」という対訳を用いることにしたい。 今回の時計は以下。オーデマ・ピゲの薄型ドレスウォッチである。パーペチュアルカレンダーでありながら自動巻機構で薄型というこのモデルはまさしく当時の “luxury” watch であったはずだ。

本物のス丶メ その7

さて、本物の価格は本当に高いのか、それを検証中であった。 前回、時計の価格は下がっているのではないかという検証を行った。それをもう少し分かりやすくしてみたい。以下に、自動車および腕時計の物価指数を総合指標で正規化した図を示す(2015年=100)。 この図は、ある一般物価に対して、2015年と比較して、過去どのくらい割高/または割安と感じていたかおおよその感覚を示していると考えることができる。例えば自動車の場合、1970年当時は、今と比較すると200%、つまり倍くらいと感じていたということが言えるだろう。腕時計の場合は同様に3倍程度と感じていたと考えることができる。 1970年というのはクォーツ革命の翌年であり、まだクォーツ時計はさほど普及していない。つまり、この1970年の時計価格はほぼ機械式時計の価格であり、2015年度の統計はクォーツ時計の価格ということになる。そしてこの二つを比較してみることにより、時計の価格感覚は1/3になっているいうことができそうである。世の中で信じられている通り、1969年のクオーツ革命は明らかに時計の価格を下げたのである。 ところがこうなると、時計の価格が下っているのにもかかわらず、「本物の価格が高いから買えない」という人が増えている、ということになる。どうも変ではないだろうか。 今回の時計はオーデマ・ピゲの当時世界最薄のパーペチュアルカレンダー自動巻モデルである。1978年、クォーツショックの真っ只中にリリースされたオーデマ・ピゲの意欲作で、ジャガールクルトの名作キャリバー920をベースにしたムーブメントは、パーペチュアルカレンダーかつ自動巻でありながら厚さ 4mm を切っていた。本個体は、2019年のAPのイベントで展示されていた個体である。

CHRONO TOKYO

「こだわり」にもいろいろある。 例えば評価の高い独立時計師がこだわって作る時計の場合、ほぼ好きなように値段をつけられるから、コストの制約はあまりない。こだわり放題である。パッケージや革ストラップなどは、時計本体の値段に比べればおまけのようなものであるから、選択の自由度は高い。豪華な化粧箱も作ることができるし、ストラップにクロコダイルを使おうが、ガルーシャを使おうが自由である。あらゆることにほぼ好きなようにこだわることができる。 一方で、税込20万円の時計で「こだわる」場合にはそうはいかない。時計本体のコストに制約が出てくるのはもちろんのこと、革ストラップ、パッケージのコストも馬鹿には出来ない。コスト制約のなかでの優先度をつけた「こだわり」である。今回はその制約の中での「こだわり」を見ていきたい。 まず開梱である。内部の梱包は最小限にしてあるが、そこで時計の化粧箱が第一のこだわりポイントである。大きさは最低限の、ちょうど60~70年代の時計の箱のサイズのようである。この化粧箱を開けようとすると気付くのが、内箱と外箱のクリアランスである。きっちりと内箱と外箱とがかみあう大きさに仕上げてある。 次はストラップである。革ストラップは、市販品で3000円くらいからでも入手できる。時計本体に「こだわる」のであれば、ストラップというのは交換可能なパーツでもあるし、ある程度はクオリティを犠牲にしてもよいパーツではないかと一瞬考えてしまう。しかし、この時計の場合は違う。豪華なものではないが、十分にしなやかでつけ心地も良い。色も文字盤にあわせてマッチした色の選択である。腕時計は、時計本体だけでは時計としての機能を果たせない。革ストラップも含めて時計の一部であると主張しているようである。そのサイズは、クラシックをリスペクトしたかのような 20-16であり、この時計にあつらえたかのようにすごく似合っている。裏にはGENUINE LEATHERと素気なく書かれているだけであり、いかにも市販品のような体裁だが、これも浅岡氏のデザイン、または監修のはずである。 尾錠も見逃せない。筆者が最初にパッケージを開けて驚いたのはこの尾錠であった。こういう形状の尾錠を筆者はあまり見たことがない。筆者の所持時計の中では、オーデマ・ピゲのヴィンテージ尾錠に似ている。現代の時計でいえばブライトリングの尾錠に似ているが、ブライトリングほど止め金の幅を広くとっているわけでもない。刻印も何もないが、まるでCHRONO TOKYOの時計本体とストラップ専用に作ったかのように大変よく似合っている尾錠である。 いよいよ時計本体である。 まず気付くのがその文字盤の素晴しさである。最近ではなかなか見ないボンベダイヤルで中央が盛り上ったデザインになっている。グレーということになっているが、光の反射で様々に色が変わる。針もオリジナルのデザインであり、この時計が高精度であるということを誇示するようにきちんとインデックスに届く長さである。しかもその上先端の曲げ処理まで施してある。そして、この文字盤と針を保護するのはボックスサファイヤである。まさしく往年の高級時計の浅岡氏流のモダンな解釈とでもいえようか。 最後に、ムーブメントおよび文字盤を保護するケースである。これもまたこだわりのケースである。サイドからラグへと流れる曲面は、なんとも言いあらわせない三次元の曲面で構成される。サイドの曲面がすっきりラグに収斂する様は往年のカラトラバやオーデマピゲのVZSSのような形状を彷彿させつつも、それとは違うモダンなデザインになっている。側面から見るとこれがよく分かるかもしれない。上が オーデマ・ピゲのVZSS、下が CHRONO TOKYO である。 さて、このようなこだわり抜いた時計が税込20万円で手に入る(注: 10/12現在.入手できない。最初の限定発売分は、発売開始わずか2日で受付停止であった。現在、追加生産を検討中とのことである)。デザイナーが、デザインだけでなく、量産工程の部品の監修、プロデュースを手掛けることで、ここまでのクオリティ、ポテンシャルを引き出すことができる。誰もができることではないが、モノヅクリをしている人たちは、自分の潜在能力に気付き、自身のこだわりによりフォーカスすることで、社会全体のポテンシャルを高めることができる。浅岡氏がこの時計で証明したかったことの一つはそういうことであったのかもしれない。

機械式時計のどこがいいのか? その23

ロイヤルオークの続きです。今度は特許の本文を読んでみましょう。ジェンタが何を考えてこのケースを考えたのか、少し見えてくるかもしれません。 この発明は時計のケースに関するものです。 高い防水性を持つ時計ケース、これが発明の目的の一つです。これは、とりわけシンプルで、製造に適しており、そして、美しい外観を持ちます。 この防水性の高い時計ケースは、ケースバックと、風防を挟み込んだベゼルとを何本かのネジで結合します。そのケースバック、ベゼル、風防とムーブメントのケーシング用のフレームの間には防水性の高いパッキンが配置されます。 似たような構造の例はたくさんあります。しかしながら、従来の構成では、ケースバックが直接、薄い環状のパッキンを圧着します。この方式の欠点は、その部分以外の時計の接合部分にありました。とりわけベゼルとケースとの間が、ある一定期間水で満たされた場合、これらの部品が錆びてしまうかもしれません。 この発明によって作られる時計ケースの大きな目的は、時計ケースのすべての部品に対する完全な防水性を保証することです。そして、新しく美しい外観、また製造の容易さも考慮されています。 ジェンタは、新しいスポーツ時計をデザインするにあたって、防水性をもちろん考えていました。しかし同時に時計の外観に配慮し、さらに製造の容易さまでもデザインの段階で考えていたということが分かります。

機械式時計のどこがいいのか? その22

ロイヤルオークの話を続けます。仕上げは最終工程ですから、その時計の作られたコンセプトと密接に関連があります。そこで今回はロイヤルオークの特許を読んでみたいと思います。まずは表紙です。 画像は、1973年9月に成立しているU.S.の特許です。スイスで成立しているのは1971年12月です。発明者はジェラルド・ジェンタ、特許の権利者はオーデマピゲです。4ページしかないので、比較的簡単に読めます。 概要のところを訳出してみます。これはほぼ特許の請求事項と同じです。 ケースバックとベゼル、風防ガラスとをネジによって結合する防水時計ケースです。ケースバックとベゼル、風防ガラス、ムーブメントを支えるフレームとの間には防水パッキンが配置されます。ネジの頭はベゼルに埋めこまれるようになっています。それらのネジは、内部に用意されている受け穴に固定され、ケースバックから必要に応じてそのネジを固定できます。それぞれのネジとネジ受けは、防水パッキンを貫通していて、ガラスとベゼル、ケースバックとベゼル、ケースバックとムーブメント用のフレームとの間の防水性を保証しています。 一言でいえば、裏蓋がないタイプの新しいケースの特許です。特徴的なのは、ベゼルとケースとを何本かのネジで結合して、その間に風防ガラスとムーブメント支持用のフレームを挟みこむことです。その間に防水パッキンを置くことで、防水性を確保するというアイデアになります。 図でいう8がネジ,11は円ではないネジの頭です。9がネジ受け,10はそのネジ受け内部に溝が切られている部分です。防水パッキン4はこれはA(ベゼル5とケースとの間)、B(ベゼル5とガラス6との間)、C、(ケースとムーブメント13のケーシング用リング12との間)の間を満たします。 特許には新規性が必要です。そこでこの特許の新規性は、いままでの問題点を解決する防水ケースという観点で書いてあります。しかしこの特許は、防水性という実用性だけではなく、外観的な部分も考えていることが分かります。ベゼルの上にネジが出ていてはかっこ悪いですよね。なので、ネジの頭の部分をベゼルに埋めこめるようになっています。しかし、ただ、埋めこめるようにしてしまうと、ネジが回転できなくなります。そこで、ネジの回転は、内部に埋めこまれているネジの受け穴で十分回転でき、ベゼルを固定できるようになっています。 興味深いことに、この特許の図では、ロイヤルオークのネジの向きは揃っていません。みなマチマチの方向を向いています。

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