さて時計の中心軸の周りに回転する歯車が多いと、どうなるでしょうか?当然ながら、時計が厚くなる傾向が出てきます。4枚の歯車と2枚の歯車、おそらく2枚の歯車のほうが薄く作りやすいでしょう。しかも時計の歯車の場合、カナと呼ばれるギア比変換用の歯車も一体整形されているものがあります。画像は時計三昧さんからです。 時計の場合、秒針->分針の回転数変換は1:60、さらに分針->時針の回転数変換も1:60です。つまり、秒針の歯車が60回回転した時に、分針の歯車が1回回転すればいいわけですから、歯車の歯の数は、秒針1に対して分針は60でなければいけません。これを二枚の歯車で実現しようとすると、実はかなり大変です。 歯車の大きさが同じだとすると、円周の長さは半径に比例しますから、半径が60倍大きな歯車が必要になります。例えば1mmの半径の歯車があったとして60倍になると60mmです。歯車だけで腕時計よりも大きくなってしまいます。このため、秒針->分針の変換にはカナのついた歯車が二枚介してあります。そして、このような「カナ」を持つ歯車が一枚一定箇所に集中すると、また厚さが増えてしまう傾向が出てきてしまいます。 そんなに厚い時計が嫌なら、部品を薄く作ればいいじゃん。 ごもっともな意見です。例えば極端な話、現在の最新半導体プロセスを使えば、髪の毛の1/100の薄さの部品だって作れます。しかしながら機械式時計の場合、メンテナンスをしなければいけません。髪の毛の1/100の薄さのものの耐久性が100年もあるのかどうか、また、部品がなくなった場合、どうやって制作するのかということを考えると、やはり手で作れる程度の大きさの部品であるというのが、現代の機械式時計には必須の条件になってきます。しかも、耐久性のことを考えると、やはり厚い部品のほうが望ましいのです。 ということでやはり、手で作れる程度の大きさの部品が回転軸の回りに集中すると、時計というのはどうしても厚くなってしまう傾向にあるのです。
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