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Tag 贅沢

本物のス丶メ その11

さて「買えないほど高い」と言われている贅沢ブランド品だが、買うのが不可能とはいえないにしても、やはり高額品といわれる部類に入る贅沢ブランド品も多いということは分かった。 では次に、コストに対しての価格設定を検証しよう。 贅沢ブランド品は、作りが違う。材料もいいものを使っているし、職人の工数もかかっているとよく言われる。それはそうであろう。そして職人の人件費や材料費、広告宣伝費など、製作および販売コストが相応にかかっているのであれば、その販売価格は「高い」といってもそれが適正価格であるといえるのではないだろうか。 これを検証するために、贅沢ブランドの財務状況を参照してみよう。また、コストが高いか適正か判断しようとするのnであるから、比較対象も必要である。そこで、贅沢ブランドの代表として、 LVMH (モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン グループ)、Swatchグループ、日本代表としてはセイコー、あとは他業種からApple、Panasonicなどをピックアップして比較考察を行ってみたい。 今回の時計はオメガシーマスターのヴィンテージモデル。Baby Proplofとも呼ばれることもあるダイバーモデルだ。    

本物のス丶メ その9

さて、前回の仮説を検証していきたい。本物がごく簡単にしかもリーズナブルに入手できる日本において、高くて買えない本物というのはいわゆる「ブランド品」ではないだろうか。 自明に思える問いではあるが、答えるのは思ったよりも簡単でははない。 そもそも、「ブランド品」とは何であろうか。 パッと思いつくのが、ヴィトンやグッチ、ロレックスなどの高額品でかつ、あるキャラクターやシンボルで一目でそのブランドと分かるようにした流通品、ということになるであろうが、実はその定義はきわめて曖昧だ。英語でいうブランドには、もっと幅広い意味がある。ブランドランキングというのを聞いたことがある人もいるであろう。トヨタ、アップル、コカ・コーラもすべてブランドであるし、カシオのG-Shockも間違いなくブランドである。だが、少々高いかもしれないが、G-Shockが高くて買えないからG-Shockの偽物を購入する、などとは少なくとも筆者は聞いたことがない。 ということは、ここでいう「ブランド品」は、数あるブランド品の中でも「高額品」という定義になるであろう。しかもその「高額品」の中でもより知名度があるブランドということになる。知名度がない、例えば時計でいうと1000万円を超える値札をつけるブランドもあるが、そうしたものはマニアや超富裕層にしか需要はない。一般の人は存在も知らないし、もし見せられたとしても、時として奇抜な形状のそれらをつけたいとも欲しいともまず思わないはずだ。 英語ではそれらのブランドを通常 luxury brandとして区分する。しかし不幸にしてこの単語には現在の日本語の語彙にいい対訳がない。よく言われるのが「高級ブランド」という訳語だが、この訳語から “luxury” という単語に含まれる、「贅沢な、豪華な」という意味をとるのは困難であろう。「アップルは携帯電話の高級ブランドである」と日本語で書いても特に筆者には違和感はない。一方、英語で “Apple is a luxury brand in cell phone.”と使うとかなり違和感がある。”Why Apple is luxury?  Everybody is using it every day!” とでも返したくなる。 そこで、本連載では luxury brandの訳として「贅沢ブランド」という対訳を用いることにしたい。 今回の時計は以下。オーデマ・ピゲの薄型ドレスウォッチである。パーペチュアルカレンダーでありながら自動巻機構で薄型というこのモデルはまさしく当時の “luxury” watch であったはずだ。

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