寒い日々が続きますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。私は寒さは嫌いですが、冬は汗や水分にあまり気を使わなくよくなって、使う時計の選択肢が増えますので、その意味では好きな季節です。 前回、クオーツ時計は簡単だと散々書きました。では、どのように簡単なのでしょうか。一番簡単な理由は、その仕組みにあります。クオーツ時計は基本的に電池で動きます。電池で動く、よく聞きますが、では「動く」っていったいどういうことでしょう。 電池で動くっていうことは、電池の力を使って、何かを動かすわけです。クオーツ時計の場合、その何かとは何か。一つは電子回路です。電池で回路を動かして所望の機能を達成するわけです。 簡略図で書いてみるとこのような感じです。電池の力ですべての回路を動かします。まずは、32768Hzを作る水晶発振器。これが全部の元です。それを半分にして、もう一回半分にして、、、とこれを15回続けると、1秒ができます。1秒ができればそれを1/60にします。そうすると1分ができて、さらに1/60にすると1時間ができます。 なお、電池というのは、かなりユニバーサルな動力源で相当便利に使えます。この図に書いているのは、電子回路に関連する部分だけですが、電池は、他にも回路だけではなく、針を駆動するモーターなども動かします。 さて、ここで重要なのは、クオーツ時計の場合、その機能(回路)と動力源(電池)は別々になっているということです。ユニバーサルな動力源を使うことで、電池さえあれば、動力源に関する心配がまったくいらない、これは実に革命的なことでした。もっともそのため、泣き所は電池寿命ということになります。大容量の電池はサイズの制約で搭載できませんから、クオーツ時計は、電子回路の中では最も消費電力に気を使ったエコなシステムになっています。
さて、クオーツ時計と機械式時計との比較中でした。まずは、よく調整された機械式時計の精度はクオーツ時計と比較してもそれほど大きい差はない。時計雑誌にはよくクオーツのほうが振動数が高いから精度がいいと紋切り型に書いてありますが、いちがいにそういうことは言えなさそうだということが分かってきたのかと思います。 次に考えてみたいのが「視認性」です。電池で駆動するクオーツ時計は、電池を長持ちさせなければいけない。その結果、トルクを弱めにしなければいけなく、機械式時計のように太い針を運針させることが難しい。従って、視認性は悪くなることが多いという話でした。これは一般論としてよく言われますし、私もそう思い込んでいました。しかし、最近のファッション時計では45mmとかの大きいサイズもありますし、視認性のよいクオーツ時計もあるように思えます。 画像は、ブレラというイタリア製の時計です。機械式時計に詳しい人は、針の仕上げや文字盤の仕上げなど、いろんなことでまだまだだとおっしゃるでしょうけど、例えばケースの仕上げとかはそれなりによさそうだし、文字盤上に置かれた立体的なアプライドインデックスもいいように見えます。もちろん仕上げがそこそこいいということは、値段もそれなりで10万円弱の値札がついてますが、なにより、これはサイズが44mmとかなり大きく、このサイズでこの針の大きさだと「視認性」はそんなに悪くなさそうです。 クロノグラフでは例えばオバマ大統領の時計として有名はアナログクロノグラフなどもあります。中国製でムーブメントはシチズンの子会社ミヨタ製、サイズは41mmです。 次の画像はグランドセイコーSBGX067。ベーシックな年差クオーツモデルです。これになると文字盤の仕上げといい、針といい、一般的な機械式時計とほとんど遜色ないように見えます。ムーブメントはセイコー製9F62 。 なんだかクオーツ時計の視認性もそれなりにいいように思えてきました。
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