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機械式時計はなぜ動くのか? その6

さて、クオーツ時計と機械式時計とで、大きな違いがあることは分かりました。では、その違いをより詳しく見ていくことにしましょう。クオーツ時計と機械式時計、一番の大きな違いは、動力源にあります。すべてのモノが機能する、動くためにはそれに相当するエネルギーが必要です。クオーツ時計の場合、電気エネルギーという極めてユニバーサルな動力源を使用します。そのため、動力源と機能ブロックとは完全に分離できます。もし壁のコンセントからエネルギーを取得できるのであれば、クオーツ時計は動力源の問題はほとんどなくなり、ほぼ無制限に動きつづけることができることになりますし、どんな大きな針も駆動できることになります。これは動力源と機能が分離できるからです。 一方で、機械式時計はゼンマイを動力とします。ゼンマイというものはユニバーサルな動力源の一つではありますが、電気ほどユニバーサルではなく、機械式時計では、動力源と機能とが未分化です。つまり、ゼンマイで歯車を駆動し、歯車の歯の数の比で、所望の周波数を生成します。材質が同じであれば、厚くて幅広のゼンマイであればあるほど、大きな歯車や針を駆動できます。その一方で、ゼンマイの長さは駆動時間に直接かかわってきます。ゼンマイをおさめる箱の体積の問題がありますので、厚くて幅広のゼンマイは、短かい駆動時間となります。一方で、薄くて幅が狭いゼンマイは長寿命ではありますが、より小さな歯車、または軽い針しか駆動できないことになります。 機械式時計の設計はまずこの部分をどう最適化するかということに関ってきます。一般的に高級時計は、薄型です。外形寸法が薄いということは、薄いゼンマイを使わなければならず、結果的に比較的弱いトルクになり、より小さい針しか駆動できないことになります。そのため、歯車の歯をきちんと磨くことで、トルクのロスを極力減らすといった努力が高級時計にはなされることになります。 画像はロイヤルオークジャンボ。薄型自動巻の最高峰の機械を内蔵します。

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