さて、手間がかかっているから高いとされる贅沢ブランド品の製造コストはどのくらいと読みとれるのだろうか。

時計の製造メーカーは、製造業に分類される。その製造業としての必要なコストをここでは大きく以下に分類したい。

  • 工場を維持、稼働させるためのコスト。原材料を購入して、その工場設備を稼働させれば製品が出来上がる。
  • 出来上がったその製品を販売するための営業や広告宣伝、間接部門のコスト
  • 次世代製品の研究開発コスト。次世代の製品こそがその企業の将来を決める。
  • 工場への設備投資コスト。設備は老朽化する。設備投資の止まった工場に未来はない。

とくに大規模な製造設備を有するメーカーにとって、原材料費はその一部にすぎない。メーカーが、これらすべての投資を回収して、次世代製品のための研究開発を続けためには、現行製品の販売によって適正な利益を産み出す必要がある。

さて今回の時計はロンジンのヴィンテージ、ウルトラクロン。ロンジンは、スウォッチ・グループの一員として、良質かつリーズナブルな時計を市場に提供しているが、時計業界の中でも屈指の長い歴史を持つメーカーだ。本モデルには、クロノメーター規格の自社製ムーブメントが搭載されている。