IEEEという国際的にもかなり権威の高い学会に認められたセイコーアストロンの受賞でも日本語と英語が微妙に違う、という話でした。
ここで重要なのは以下のポイントです。
- 英語の原文では、一般向けと明示されています。業界ではすでにクォーツ時計は使われていました。セイコーの社史にも1958年、放送局向けのクォーツ時計を商品化とあります。
- 英語の原文では、「量産」と「発表」とを明示的に分けています。つまり、諏訪精工舎はセイコーグループの時計を生産する会社として、世界初の時計の量産に成功しました。その発表は1969年の12月25日に行なわれた、となっています。
特にこの2.「量産」と「発表」とが分かれている点が重要です。つまりは、量産の準備さえできていれば、センセーショナルな発表の後に量産を開始、実際の「発売」は後でもいいことになります。
ところが日本語訳では、一言で、1969年12月25日に「発売」した、となっています。「発売」という場合、すでに量産は完了しており、その発表当日に量産一号を入手することができるわけです。発表前に量産しているのは当り前のことで、わざわざ量産と発表とを分ける必要はない。腕時計は量産してナンボであって、準備ができたから発表した、その日にはモノを入手できるのは当り前だよ、ということなのでしょう。
さて、この日本の常識って、世界の常識なんでしょうか?
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